事前バインディングと遅延バインディング(実行時バインディング)
マクロVBAでActiveXオブジェクトを操作する場合のVBA記述方法が2通りあります。
オブジェクトがオブジェクト変数に代入されるとき、事前バインディングと遅延バインディング(実行時バインディング)の2通りです。
バインディングとは
オブジェクトがオブジェクト変数に代入されるときにバインディングと呼ばれる処理を実行します。
記述方法の違いにより、事前バインディングと遅延バインディング(実行時バインディングとも呼びます)の2通りの方法があります。
事前バインディング
事前バインディングされたオブジェクトでは、アプリケーションが実行される前に、
コンパイラによってメモリの割り当てとその他の最適化が実行されます。
ただし、外部オブジェクトの場合は参照設定が必要になります。
遅延バインディング(実行時バインディング)
この型のオブジェクトは、任意のオブジェクトへの参照を保持できますが、
事前バインディングされたオブジェクトの利点をほとんど持ちません。
実装(VBA記述)の違い
遅延バインディング
Dim objFSO As Object
Set objFSO = CreateObject("Scripting.FileSystemObject")
事前バインディング
「Microsoft Scripting Runtime」にチェックを付ける。
または、
Dim objFSO As FileSystemObject
Set objFSO = New FileSystemObject
変数宣言の型が、Objectが遅延バインディング、特定のオブジェクト型が事前バインディング
事前バインディングの利点
これによって、コンパイラは、アプリケーションをより効率的にする重要な最適化を実行できます。
事前バインディングされたオブジェクトは遅延バインディングされたオブジェクトよりも処理が高速です。
使用されているオブジェクトの種類が明確になるため、コードがより読みやすくなり、保守も簡単になります。
その他の利点として、自動コード補完機能が有効になり、プロパティ・メソッドの一覧を見る事が出来ます。
遅延バインディングの場合
Dim objFSO As Object
Set objFSO = CreateObject("Scripting.FileSystemObject")
If Not objFSO.FolderExist(strDir) Then
MsgBox ("指定のフォルダは存在しません")
Exit Sub
End If
上のコードには、スペルミスがあります。


事前バインディングの場合
Dim objFSO As FileSystemObject
Set objFSO = New FileSystemObject
If Not objFSO.FolderExist(strDir) Then
MsgBox ("指定のフォルダは存在しません")
Exit Sub
End If
実行時には、


ここで必要なオブジェクトにチェックを付けます。
正式な名称を知らずに、その場で探すことは困難です。
事前に正式なライブラリ名称を調べてから設定して下さい。
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