エクセル入門
イータ縮小ラムダ(eta reduced lambda)

Excelの初心者向け入門解説
公開日:2023-11-20 最終更新日:2023-11-21

イータ縮小ラムダ(eta reduced lambda)


LAMBDAヘルパー関数のLAMBDA関数の記述部分を縮小記述するものです。


明示的にLAMBDA関数を記述する場合に比べてイータ縮小ラムダは記述が短く扱いやすくなっています。
もちろん明示的にLAMBDA関数を記述しても構いませんが、
イータ縮小ラムダの記述が可能な場合は極力使うようにすることで数式も短く見やすくなります。


LAMBDAヘルパー関数

LAMBDAヘルパー関数では、イータ縮小ラムダの記述ができます。
MAP関数
MAP関数はLAMBDAヘルパー関数(LAMBDAと一緒に使う)の一つです。配列にLAMBDAを適用して新しい値を作成することにより、配列内の各値を新しい値にマッピング(元配列に対して異なるデータを割り当て)して形成された配列を返します。MAP関数はLAMBDAヘルパー関数なので、LAMBDAについては別途習得して…
REDUCE関数
・REDUCE関数の構文 ・REDUCEの基本動作 ・REDUCE関数の使用例と解説 ・初期値に配列を指定した場合 ・[初期値]を省略した時の動作
SCAN関数
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BYCOL関数
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MAKEARRAY関数
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365 Insiderにイータ縮小ラムダと一緒にリリースされた関数。
GROUPBY関数
GROUPBY関数は、行(縦)でグループ化し指定された関数によって値を集計します。行(縦)の軸に沿ったグループ化と、関連する値の集計がサポートされます。複数の行グループレベルに対応しています。総計・小計、並べ替え、フィルター処理もサポートされています。
PIVOYBY関数
PIVOTBY関数は、行(縦)と列(横)でグループ化し指定された関数によって値を集計します。行(縦)と列(横)の2軸に沿ったグループ化と、関連する値の集計がサポートされます。複数の行グループレベル、複数の列グループレベルに対応しています。


イータ縮小ラムダ関数

LAMBDAヘルパー関数の入力で、
引数「関数」の箇所において候補表示される関数は以下になります。

エクセル Excel LAMBDA関数 イータ縮小ラムダ(eta reduced lambda)
エクセル Excel LAMBDA関数 イータ縮小ラムダ(eta reduced lambda)
SUM
AVERAGE
MEDIAN
COUNT
COUNTA
MAX
MIN
PRODUCT
ARRAYTOTEXT
CONCAT
SRDEV.S
STDEV.P
VAR.S
VAR.P
MODE.SNGL


しかし候補表示されない関数でもイータ縮小ラムダが使えるようです。
AND
OR
XOR
SUMPRODUCT
AVEDEV
AVERAGEA
PHONETIC

上記以外にもまだまだあります。
まだまだあるというより、全ての関数をイータ縮小ラムダとして使用できます。
ただし、LAMBDAヘルパー関数の中で使う関数として役に立たない・引数が合わなくて使えない関数がほとんどだと言うだけです。

イータ縮小ラムダ関数の検証

=IF(1,関数)(引数)

この「関数」の部分に存在する関数を片っ端から入れていくと・・・
引数さえ適切に指定すれば、確認した範囲内では全ての関数が使用できました。

=IF(1,TODAY)()
=IF(1,ABS)(1)
=IF(1,EDATE)(TODAY(),2)
=IF(1,VLOOKUP)(1,G:H,2,FALSE)

このように引数を正しく与えればどの関数も動作しました。
とはいえ、実際の使い道があるかというと・・・
LAMBDAヘルパー関数で使うには、関数の目的やその関数が配列を引き受けられるかどうかとか、それなりに制限はあります。

関数の書式で、
=関数(数値1, 数値2, 数値3,...)
=関数(文字列1, 文字列2, 文字列3,...)
=関数(参照)
このような関数であれば、どのような場面でも大抵は使えるはずです。

※今回のアップデートで追加された「イータ縮小ラムダ」は非常に大きな変革と言えます。

イータ縮小ラムダ関数が使える場所

LAMBDAヘルパー関数の引数で、
エクセル Excel LAMBDA関数 イータ縮小ラムダ(eta reduced lambda)
エクセル Excel LAMBDA関数 イータ縮小ラムダ(eta reduced lambda)
このように、
lambda
function
これらの引数は今まではLAMBDA関数を書く場所でしたが、
LAMBDA関数の代わりにイータ縮小ラムダを書くことが出来ます。

さらに、LAMBDAヘルパー関数以外でも使用できます。
もちろんどこでも記述できるわけではなく、記述できる場所の制限はあります。
以下のLAMBDAが使える場所ではイータ縮小ラムダも使えます。 ただしLAMBDAヘルパー関数もしくはLET関数以外で使用するのは可読性の点からは慎重にするべきだと思います。


イータ縮小ラムダ 使用例と解説

明示的にLAMBDA関数を使って記述した場合、
=ヘルパー関数(...,LAMBDA(x,○○○(x)))
これをイータ縮小LAMBDAを使って記述すると、
=ヘルパー関数(...,○○○)
このように縮小簡略化した記述にすることが出来ます。

この○○○の部分が、
イータ縮小ラムダ
であり、使用できる関数は前節に挙げた一覧になります。

ヘルパー関数ごとにLAMBDAの引数の数も違いますので、
SUM関数を例にして、以下でヘルパー関数ごとに明示的LAMBDAとイータ縮小ラムダを例示します。

MAP

エクセル Excel LAMBDA関数 イータ縮小ラムダ(eta reduced lambda)

=MAP(A1:A5,B1:B5,AVERAGE)
↓以下と同じ
=MAP(A1:A5,B1:B5,LAMBDA(x,y,AVERAGE(x,y)))

REDUCE

エクセル Excel LAMBDA関数 イータ縮小ラムダ(eta reduced lambda)

=REDUCE(0,A1:A5,SUM)
↓以下と同じ
=REDUCE(0,A1:A5,LAMBDA(x,y,SUM(x,y)))

SCAN

エクセル Excel LAMBDA関数 イータ縮小ラムダ(eta reduced lambda)

=SCAN(0,A1:A5,SUM)
↓以下と同じ
=SCAN(0,A1:A5,LAMBDA(x,y,SUM(x,y)))

BYROW

エクセル Excel LAMBDA関数 イータ縮小ラムダ(eta reduced lambda)

=BYROW(A1:B5,SUM)
↓以下と同じ
=BYROW(A1:B5,LAMBDA(x,SUM(x)))

BYCOL

エクセル Excel LAMBDA関数 イータ縮小ラムダ(eta reduced lambda)

=BYCOL(A1:C4,SUM)
↓以下と同じ
=BYCOL(A1:C4,LAMBDA(x,SUM(x)))

MAKEARRAY

エクセル Excel LAMBDA関数 イータ縮小ラムダ(eta reduced lambda)

=MAKEARRAY(5,3,SUM)
↓以下と同じ
=MAKEARRAY(5,3,LAMBDA(x,y,SUM(x,y)))

GROUPBY

エクセル Excel LAMBDA関数 イータ縮小ラムダ(eta reduced lambda)

=GROUPBY(A1:A6,B1:B6,SUM)
↓以下と同じ
=GROUPBY(A1:A6,B1:B6,LAMBDA(x,SUM(x)))
※GROUPBYのLAMBDAには第2引数が存在しますが、これがイータ縮小ラムダのSUMには渡されていません。

PIVOYBY

エクセル Excel LAMBDA関数 イータ縮小ラムダ(eta reduced lambda)

=PIVOTBY(B1:B19,A1:A19,C1:C19,SUM)
↓以下と同じ
=PIVOTBY(B1:B19,A1:A19,C1:C19,LAMBDA(x,SUM(x)))
※PIVOTBYのLAMBDAには第2引数が存在しますが、これがイータ縮小ラムダのSUMには渡されていません。




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