SCAN関数(配列にLAMBDAを適用し各中間値を返す)
SCAN関数はOffice365のExcelに2022年になってから追加された新しい関数です。
SCAN関数はLAMBDAヘルパー関数(LAMBDAと一緒に使う)の一つです。
中間値ではなく、累積値を出力する場合はSCAN関数を使います。
SCAN関数はLAMBDAヘルパー関数なので、LAMBDAについては別途習得してからお読みください。
SCAN関数の構文
[初期値] | アキュムレーターの開始値を設定します。 省略可能:挙動については注意が必要、最後に解説しています。 |
配列 | 配列を指定します。 単一データ(スカラー型、定数値)の指定も可能ですが使用する意味はありません。 必須です。 |
LAMBDA | 配列をスキャンするために呼び出されるLAMBDA。 LAMBDAは2つのパラメーターと計算が必要です:。 |
LAMBDA
アキュムレーター | その時点の中間値を受け取ります。 |
値 | 配列内の各要素から受け取る値。 |
計算 | スキャンした時の計算式 |
LAMBDAで計算された値は、
・配列の各要素と同じ位置に格納されます。
・次の配列要素で呼ばれるLAMBDAがアキュムレーターで受け取ります。
これを配列の全ての要素に対して行います。
この下で詳しく説明します。
SCANの基本動作
=SCAN(0,A1:A5,LAMBDA(x,y,x+y))
A1:A5を順に処理します。
A1:A5の1,2,3,4,5が順にLAMBDAのyに入ります。
最初は{1,2,3,4,5}の1が取り出され、初期値の0と0+1=1が計算され、この1が取り出した配列と同じ位置(1行)の出力配列に格納され、さらにこの値は次のLAMBDAに渡されます。
次に{1,2,3,4,5}の2が取り出され、前回の1と1+2=3が計算され、この3が取り出した配列と同じ位置(2行)の出力配列に格納され、さらにこの値は次のLAMBDAに渡されます。
これが配列の最後まで行われ、配列の全ての処理が終わった時の出力配列がSCANの戻り値となります。
SCAN関数の使用例と解説
月曜は500円、火曜は1,000円、水曜は1,500円、木曜は2,000円、金曜は2,500円
土日は貯金はしません。
開始日と終了日を入力し、その貯金額の推移を出力してください。
※E:Fは推移が分かり易いように検算を兼ねた数式を入れたものです。
=LAMBDA(開始日,終了日,
LET(
期間,SEQUENCE(終了日-開始日+1,1,開始日),
SCAN(0,期間,LAMBDA(x,y,LET(w,WEEKDAY(y,2),x+500*IF(w<6,w,0))))
))(A1,A2)
つまり、日付の一覧(ここではE1:E14)があるなら、数式は、
=SCAN(0,E1#,LAMBDA(x,y,LET(w,WEEKDAY(y,2),x+500*IF(w<6,w,0))))
これだけになります。
取り出した日付の曜日をWEEKDAYで求めます。WEEKDAY(...,2)は1月曜~7日曜です。
曜日が<6、つまり金曜日までなら、その曜日数値*500、土日は0を順次加算していきます。
配列を順次処理しつつ、その途中結果は出力配列に格納され、最終的な出力配列がSCANの結果となります。
[初期値]を省略した時の動作
したがって、[初期値]は省略せずに使う事をお勧めします。
見方を変えれば、
1番目に呼ばれるLAMBDAは何も計算を行わずに配列の一番目の値を返していることと同じ意味です。
この結果は、{1,103,206}となります。
=SCAN(,{1,2,3},LAMBDA(,1,初期値なしはそのまま配列の1を返す)) ・・・ {1, , }
=SCAN(,{1,2,3},LAMBDA(1,2,1+2+100)) ・・・ {1,103, }
=SCAN(,{1,2,3},LAMBDA(103,3,103+3+100)) ・・・ {1,103,206}
={1,103,206}
=SCAN(0,{1,2,3},LAMBDA(x,y,x+y+100))
この結果は「306」となります。
=SCAN(0,{1,2,3},LAMBDA(0,1,0+1+100)) ・・・ {101, , }
=SCAN(0,{1,2,3},LAMBDA(101,2,101+2+100)) ・・・ {101,103, }
=SCAN(0,{1,2,3},LAMBDA(203,3,203+3+100)) ・・・ {101,103,206}
={101,203,306}
LAMBDA以降の新関数の問題集 ・・・ 解答は別ページになっています。
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