BYCOL関数(配列の列単位にLAMBDAを適用し行を集約)
BYCOL関数はOffice365のExcelに2022年になってから追加された新しい関数です。
BYCOL関数はLAMBDAヘルパー関数(LAMBDAと一緒に使う)の一つです。
列単位ではなく行単位で処理して列を集約する場合はBYROW関数を使います。
エクセルの表は、横に項目を配置し縦にデータを並べるのが基本になります。
したがって、BYCOLを使って列単位のデータを処理する機会は少ないと思います。
MAP関数とSCAN関数とREDUCE関数の使い分け
この3つを区別するポイントは 「要素数が変わるかどうか」 と 「前の要素に依存するかどうか」 の2つです。
- MAP関数は、入力リストと出力リストの行数が変わらないときに使います。各要素の処理が独立しており、他の要素に影響されない場合に最適です。
- SCAN関数は、入力と出力の行数が変わらず、かつ各要素の処理が前の要素の結果に依存するときに使います。処理の途中経過をすべて記録したい場合に役立ちます。
- REDUCE関数は、入力リストと出力リストの行数が変わるときに使います。リスト全体を1つの値に集約したり、条件に基づいて新しいリストを生成したりする際に用います。
- BYROW関数は、配列の各行に同じ処理を適用し、行ごとに結果を返すときに使います。行単位での集計や変換に最適です。
- BYCOL関数は、配列の各列に同じ処理を適用し、列ごとに結果を返すときに使います。列単位での集計や変換に最適です。

| 関数 | 目的 | 入力と出力の関係 | 処理の依存性 | 例 |
| MAP関数 | 各要素の変換 | 入力リストと出力リストの要素数が同じ | 独立 | 各要素を2倍にする、大文字に変換する |
| REDUCE関数 | 1つの値への集約 | 入力リストから単一の値 | 累積的(前の結果に依存) | 合計、最大値、平均 |
| SCAN関数 | 累積結果の履歴 | 入力リストと出力リストの要素数が同じ(経過リスト) | 累積的(前の結果に依存) | 累積和、残高の推移 |
| BYROW関数 | 各行の集計・変換 | 入力の行数と出力の行数が同じ(列数は不問) | 独立(行間で影響しない) | 行ごとの合計、平均、最大値 |
| BYCOL関数 | 各列の集計・変換 | 入力の列数と出力の列数が同じ(行数は不問) | 独立(列間で影響しない) | 列ごとの合計、平均、最大値 |
BYCOL関数の構文
| 配列 | 配列を指定します。 単一データ(スカラー型、定数値)の指定も可能ですが使用する意味はありません。 必須です。 |
| LAMBDA | 配列の各列を計算するために呼び出されるLAMBDA。 LAMBDAは1つのパラメーターと計算が必要です:。 |
出力される配列は、「1行×入力配列と同じ列数」となります。
BYCOLの基本動作

=BYCOL(A1:C5,LAMBDA(x,SUM(x)))

A1:C5を列単位で順に処理します。
A1:A5のA1:C5の各列が順にLAMBDAのxに入ります。
最初はA1:A5が取り出され、LAMBDAはパラメーターxで受け取りSUM(A1:A5)を計算し、結果は取り出した配列と同じ列位置(1列)の出力配列に格納されます。
次にB2:B5が取り出され、LAMBDAはパラメーターxで受け取りSUM(B2:B5)を計算し、結果は取り出した配列と同じ行位置(2列)の出力配列に格納されます。
これが配列の最後の列まで行われ、配列の全ての処理が終わった時の出力配列がBYCOLの戻り値となります。

BYCOL関数の使用例と解説
全科目が平均点以上の人だけを一覧出力してください。
※未受験科目は0点として入力してあるものとします。
※本来なら平均点を別途出力しておくべきものですが、BYCOL/BYROWの練習として出題しています。

=FILTER(A2:F12,
BYROW(
B2:F12>=BYCOL(B2:F12,LAMBDA(x,AVERAGE(x))),
LAMBDA(y,AND(y))))
BYCOL(B2:F12,LAMBDA(x,AVERAGE(x)))
B2:B12に対して平均値を求めます。
C3:C12以降の列も同様に平均値を出していきます。
結果は「1行×入力配列と同じ列数」の配列となります。

矩形範囲の全行に対して、行単位に横範囲が適用(比較・計算)されます。


この配列を、FILTER関数の第2引数「含む」に指定することで行の絞り込みを行っています。
LAMBDA以降の新関数の問題集 ・・・ 解答は別ページになっています。
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