第121回.SendKeysメソッドとAppActivateステートメント
マクロVBAから直接連携操作できない他のアプリケーションに対しても、VBAのキーコード転送を使って操作することが可能です。
SendKeysメソッドを使い、アクティブなアプリケーションにキーコードを転送することで操作します。
もちろん、マクロが動作しているExcel自身にもキーコードを転送できます。
アクティブではないアプリケーションにキーコードを転送したい場合は、
事前に、AppActivateステートメントでアクティブにしてからSendKeysを使います。
SendKeysメソッド
グローバル定義されているので、Applicationは省略できます。
キーストロークまたはキーストロークの組み合わせを、キーボードから入力したときと同様にアクティブウィンドウに渡します。
アクティブウィンドウに対してしか作用しませんので、必ず対象のアプリケーションをアクティブにしておきます。
string | 必ず指定します。 転送するキーコードを表す文字列式を指定します。 |
wait | 省略可能です。 名前付き引数 string の転送によって行われる処理が終了するまで、実行を一時中断するかどうかを次に示すブール型の値で指定します。 False(既定値) プロシージャの終了を待たずに次の行に制御を移します。 True 処理が終了するまで実行を一時中断します。 |
キーボード上の文字を渡すには、その文字をそのまま使います。
キーボード上の文字 A を表すには、名前付き引数 stringに"A"を指定します。
複数の文字は連続して設定します。
文字 A、B、C を表すには、名前付き引数 string に "ABC" と指定します。
これらの文字を渡すには、文字を中かっこ ({ }) で囲んで指定します、プラス記号であれは {+} のように指定します。
特殊なキーを表す文字
このような文字ではなく動作を表すキーを指定するには、次に示すコードを使います。
キー | コード |
BackSpace | {BACKSPACE}、{BS}、または {BKSP} |
Ctrl + Break | {BREAK} |
CapsLock | {CAPSLOCK} |
Del または Delete | {DELETE} または {DEL} |
↓ | {DOWN} |
End | {END} |
Enter | {ENTER}または {~} |
Esc | {ESC} |
Help | {HELP} |
Home | {HOME} |
Ins または Insert | {INSERT} または {INS} |
← | {LEFT} |
NumLock | {NUMLOCK} |
PageDown | {PGDN} |
PageUp | {PGUP} |
PrintScreen | {PRTSC} |
→ | {RIGHT} |
ScrollLock | {SCROLLLOCK} |
Tab | {TAB} |
↑ | {UP} |
F1 | {F1} |
F2 | {F2} |
F3 | {F3} |
F4 | {F4} |
F5 | {F5} |
F6 | {F6} |
F7 | {F7} |
F8 | {F8} |
F9 | {F9} |
F10 | {F10} |
F11 | {F11} |
F12 | {F12} |
F13 | {F13} |
F14 | {F14} |
F15 | {F15} |
F16 | {F16} |
Shiftキー、Ctrlキー、Altキーと他のキーとの組み合わせを指定するには、
通常のキーコードの前に次のコードを単独、または組み合わせて記述します。
キー | コード |
Shift | + |
Ctrl | ^ |
Alt | % |
Shift キー、Ctrl キー、Alt キーを押しながら他のキーを押す場合は、キーのコードをかっこで囲みます。
Shift キーを押しながらEとCを押す操作を指定するには、"+(EC)" を使います。
Shift キーを押しながらEを押し、その後Shiftキーを離してCを押す場合は、"+EC" とします。
AppActivateステートメント
指定項目 | 内容 |
title | 必ず指定します。 アクティブにするアプリケーション ウィンドウのタイトル バーのタイトルを表す文字列式を指定します。 名前付き引数 title に Shell 関数によって返されるタスク ID を指定して、アプリケーションをアクティブにすることもできます。 |
wait | 省略可能です。 名前付き引数 title で指定したアプリケーションをアクティブにする前に呼び出し側のアプリケーションにフォーカスを持たせるかどうかを、次に示すブール型 (Boolean) の値を使って設定します。 False(既定値) :呼び出し側のアプリケーションがフォーカスを持っていなくても、指定したアプリケーションをアクティブにします。 True:呼び出し側のアプリケーションがフォーカスを持つまで待機し、指定したアプリケーションをアクティブにします。 |
AppActivateでフォーカスが移っても指定したウィンドウの状態は変化しません。
たとえば、最小化されているウィンドウにフォーカスを移しても、そのウィンドウは最小化されたままです。
完全に一致するものが見つからないときは、title で始まるアプリケーションをアクティブにします。
一致するアプリケーション ウィンドウが複数ある場合は、 1 つが任意に選択されてアクティブになります。
マクロVBAが起動されている自身のExcelは、Application.Caption を指定してください。
既に起動済みの他のアプリケーションの場合は、ウィンドウのタイトルを間違えずに指定してください。
SendkeysとAppActivateの使用例
実践的な使用例ではありませんが、
SendKeysを理解する為の練習として、簡単に試せるのが良いでしょう。
Dim ReturnValue, i
' 電卓を実行します。
ReturnValue = Shell("CALC.EXE", vbNormalFocus)
'起動時にスタート画面が長くかかる場合の対処
'秒数は適宜変更してください。
Application.Wait Now() + TimeSerial(0, 0, 3)
'電卓をアクティブに:起動待ち
On Error Resume Next
Do
Application.Wait Now() + TimeSerial(0, 0, 1)
DoEvents
Err.Clear
'電卓をアクティブにします。
AppActivate "電卓"
Loop While Err
'1~20までの数字を送る
For i = 1 To 20
'電卓にキーコードを転送して、
SendKeys i & "{+}", True
Next
'和を求めます。
SendKeys "=", True
MsgBox "計算終了"
第122回.Shell関数
Application.Wait
指定の時間に達した場合、True を返します。
Sendkeysでは送信できないキーコード
以下のページにAPI(keybd_event )を使用したVBAサンプルを掲載しています。
全シートの画面キャプチャを取得する(keybd_event)
NumLockが解除されてしまう問題
というより、かなりの確率でOffになります。
キーボードにテンキーが無ければ気にならないところですが、
テンキー付きのキーボードでは、これは大変困ったことになるではないでしょうか。
これを回避するには、最後にNumLockキーを送信することで対応できます。
'NumLockが解除されてしまう事への対応
SendKeys "{NUMLOCK}"
これを最後に入れるということです。
しかし、
必ず「NumLock」が「Off」になるのなら、これで良いのですが、
もし、SenKeysを実行してもNumLockがOffになっていなかったら、逆にわざわざOffにしてしまう事になります。
キーボードを1回押すだけなので、気にしなければそれでも構わないと思いますが、
これでは困るという場合は、
以下のように、WScript.ShellのSendKeysを使用してください。
Public Function SendKeys(InpKeys As String, Optional Wait As Boolean = False)
Static WSH As Object
If WSH Is Nothing Then
Set WSH = CreateObject("WScript.Shell")
End If
WSH.SendKeys InpKeys
End Function
プロシージャー名をApplicationの本来のメソッドSendKeysと同一にしているので、
これを同じプロジェェクト(同じブック)の標準モジュールに入れるだけで、
先の電卓操作のマクロVBAのままで動作します。
(このような実装方法をラップするという言い方をしたりします)
Application.SendKeys ・・・
このように書けば、ApplicationのSendKeysメソッドが動作するようになります。
100%発生しないかどうか、別の問題があるかどうか等々・・・
キーコード送信は環境に依存しますので、使用するときは良く確認してください。
VBAのSendKeysよりは安定動作するという程度に考えた方が良いと思います。
Sendkeysについて
対象のアプリケーションによっては、動作が安定しない場合も多いので使用には注意が必要です。
SendKeysを使う場合は、ユーザーにマクロVBA終了までは一切操作しない事を徹底させる必要があります。
そのような場合は、
キーボード操作可能であるならば、基本的にはSendkeysを使ってキーボード操作と同じことが実現できます。
そういった場合の最終手段として考えると良いと思います。
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