Google Apps Script入門
最終行を取得して繰り返す

Google Apps Script(GAS)の入門解説です
公開日:2016-09-28 最終更新日:2021-03-05

第8回.最終行を取得して繰り返す


データは常に増減します、決まった行数しか処理できないのではこまりますので、データに応じて最終行を取得する必要があります。
今回は実際に入っているデータの最終行をいかに取得するかを解説します。



前回の復習


前回に続いて、以下の表で、
金額 = 単価 × 数量
の計算を、データ行数が増減しても対応できるようにスクリプトを書き直します。

GAS入門 最終行

前回は、2行目~11行目までを繰り返し処理するように書きました。
ただし、お終いの行数の11が固定でした。
この11を固定数値ではなく、データの入っている行数に自動的になるようにします。

前回のスクリプト
function mySample4() {
  var sheet = SpreadsheetApp.getActiveSheet()
  var tannka,suuryou
  for (var i=2; i<=11; i++) {
    tannka = sheet.getRange(i, 2).getValue()
    suuryou = sheet.getRange(i, 3).getValue()
    sheet.getRange(i, 4).setValue(tannka * suuryou) 
  }}

上のスクリプトの11という固定数値部分を書き換えます。


完成スクリプト

function mySample5() {
  var sheet = SpreadsheetApp.getActiveSheet()
  var tannka,suuryou,lastRow
  lastRow = sheet.getLastRow()
  for (var i=2; i<=lastRow; i++) {
    tannka = sheet.getRange(i, 2).getValue()
    suuryou = sheet.getRange(i, 3).getValue()
    sheet.getRange(i, 4).setValue(tannka * suuryou) 
  }
}

スクリプトの解説

変数、lastRowを宣言し、ここに最終行を入れて、forの条件に使っています。
その最終行取得のメソッドが、
sheet.getLastRow()
これになります。
getLastRowは、データのある最終行を返してくれます。

i<=sheet.getLastRow()
としても構いません
ここではその後に使っていませんが、
最終行の数値は、その後に使う事を想定して、変数に入れておくと良いでしょう。

getLastRowと似たメソッドに、
getMaxRows
があります。
これは、シートの全行数で、データの有無に関係なく全行数を返します。


指定列の最終行

データは連続入力されていることを前提とするなら、

function mySample6() {
  var sheet = SpreadsheetApp.getActiveSheet()
  var tannka,suuryou,lastRow
  lastRow = sheet.getLastRow()
  for (var i=2; i<=lastRow; i++) {
    if (sheet.getRange(i, 2).getValue() == "") break
    tannka = sheet.getRange(i, 2).getValue()
    suuryou = sheet.getRange(i, 3).getValue()
    sheet.getRange(i, 4).setValue(tannka * suuryou) 
  }
}

上記では、B列の最終行まで処理します。
ifで、B列が空であれば、forを抜けています。
ifについては、次々回くらいに説明します。

Excelでは、最終行取得の定番として、
・エクセルVBAにおける最終行取得の必要性 ・.End(xlDown):Ctrl+↓ ・.End(xlUp):Ctrl+↑ ・Endプロパティの方向(↑↓←→)について ・セルの行数を取得するRowプロパティ ・Cells(Rows.Count, 1).End(xlUp).Rowを日本語に訳す ・EndプロパティがRangeオブジェクトを返す ・Endプロパティの問題点 ・最終行に関するサイト内のページ
Cells(Rows.Count, 1).End(xlUp).Row
このように書きます。
これは、シートの一番下からCtrl+↑で突き当たった行数を取得します。
これと同じことをGASでやる場合は以下のようになります。
VBAの書き方も面倒ですが、GASの書き方はさらに面倒なものになっています。、
ついでに、上から下や、最終列の取得も掲載しておきます。
function lastRowColumn() {
  var sheet = SpreadsheetApp.getActiveSheet()
  var lastRow,lastCol
  //先頭行から下方向
  lastRow = sheet.getRange(1, 2).getNextDataCell(SpreadsheetApp.Direction.DOWN).getRow();
  Logger.log(lastRow);
 
  //最終行から上方向
  lastRow = sheet.getRange(sheet.getMaxRows(), 2).getNextDataCell(SpreadsheetApp.Direction.UP).getRow();
  Logger.log(lastRow);
  //先頭列から右方向
  lastCol = sheet.getRange(2, 1).getNextDataCell(SpreadsheetApp.Direction.NEXT).getColumn();
  Logger.log(lastCol);
 
  //最終列から左方向
  lastCol = sheet.getRange(2, sheet.getMaxColumns()).getNextDataCell(SpreadsheetApp.Direction.PREVIOUS).getColumn();
  Logger.log(lastCol);
}

上記のGASではログに出力しています。
ログを見るには、
「メニユー」→「ログ」

GAS入門 最終行


Logger.logについて

Logger.logはログを表示します。
出力されたログを見るには、

GAS入門 最終行

%sというログ表示する書式を指定するプレースホルダーも用意されています。
Logger.log(format, [values, …]);

例、
Logger.log("配列の中身は%sです", arg);


最終行を取得して繰り返すの最後に

スプレッドシートの基本は表になります。
そのデータ処理においては、最終行の取得が必須になります。

キーとなる列を設定する等の工夫をして、
なるべく標準の方法で、最終行を取得できるように表を作成することが肝要です。




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