第17回.リスト内包表記
Pythonではリストを生成する方法の1つとしてリスト内包表記があります。
リスト内包表記を使うと1行でシンプルに書くことが出来ます。
ただし分かりづらいところがあり慣れが必要だと思います。
繰り返し練習が必要になると思うので、以下ではスクリプトをコピーして簡単に実行できるようにしました。
目次
リスト内包表記の基本
Pythonのリスト生成方法の1つにリスト内包表記があり、リスト生成をシンプルに書くことが出来ます。
公式ドキュメント - 5.1.3. リストの内包表記
基本構文
リスト変数 = [式 for 変数 in イテラブル]
式で評価した結果でリスト生成します。
上記は次のfor文と互換になります。
リスト変数 = []
for 変数 in イテラブル:
リスト変数.append(式)
以下は0から4のシーケンスを2倍した数値でリスト生成しています。
rangeから0~4の数値が順次 i に取り出されて、2倍した結果でリスト生成されます。
これを普通にfor文で書いた場合は、
行数も1行でシンプルになるという利点はもちろんありますが、
変数 i のスコープが内包表記内に閉じている点も大きい利点です。
他に影響(間違った変数書換等)を与えずにリスト生成できることは非常に便利です。
上記はlambda(ラムダ式)で書くこともできます。
ary = [i * 2 for i in range(5)]
print(ary)
ary = []
for i in range(5):
ary.append(i * 2)
print(ary)
変数 i のスコープが内包表記内に閉じている点も大きい利点です。
上記はlambda(ラムダ式)で書くこともできます。
ary = list(map(lambda n:n * 2, range(5)))
print(ary)
リスト内包表記の条件分岐
リスト内包表記の中で条件分岐させる場合は、for inの後にif文を記述します。
基本構文
リスト変数 = [式 for 変数 in イテラブル if 条件式]
イテラブル(シーケンス等のイテラブルオブジェクト)から要素を1つずつ取り出し、
条件式がTrueの値だけを最初の式で評価しリスト生成します。
これは次のfor文と互換になります。
リスト変数 = []
for 変数 in イテラブル:
if 条件式:
リスト変数.append(式)
print(subs)
print(ary)
文字列の一部に"a"or"A"の文字を含むもの
lang = ["Python","VBA","GAS","Java","C","JavaScript"]
subs = [s for s in lang if "a" in s.lower()]
print(subs)
s.lower()で小文字に変換した結果の文字列に"a"が入っていればTrue。
Trueの場合だけリスト生成されます。
lang = ["Python","VBA","GAS","Java","C","JavaScript"]
subs = []
for s in lang:
if "a" in s.lower():
subs.append(s)
print(subs)
lang = ["Python","VBA","GAS","Java","C","JavaScript"]
subs = filter(lambda s:s if "a" in s.lower() else None, lang)
print(list(subs))
ラムダ式については以下を参照してください。
第15回.lambda(ラムダ式、無名関数)と三項演算子
第15回.lambda(ラムダ式、無名関数)と三項演算子
・lambda(ラムダ式)の基本 ・lambdaの使い方:print()関数 ・lambdaの使い方:sorted()関数 ・三項演算子:lambdaで条件分岐 ・filter()関数とlambda(ラムダ式) ・map()関数とlambda(ラムダ式)
3の倍数だけ抜き出す
#リスト内包表記
ary = [i for i in range(1,11) if i % 3 == 0]
print(ary)
#for文
ary = []
for n in range(1, 11):
if n % 3 == 0:
ary.append(n)
print(ary)
#ラムダ式とfilter()関数
ary = list(filter(lambda i:i if i % 3 == 0 else None, range(1,11)))
print(ary)
3の倍数は3倍、以外は2倍
#リスト内包表記
ary = [i * 3 if i % 3 == 0 else i * 2 for i in range(1,11)]
print(ary)
#for文
ary = []
for n in range(1,11):
if n % 3 == 0:
ary.append(n * 3)
else:
ary.append(n * 2)
print(ary)
#ラムダ式とmap関数
ary = list(map(lambda i:i * 3 if i % 3 == 0 else i * 2, range(1,11)))
print(ary)
リスト内包表記の複数for文
基本構文
リスト変数 = [式 for 変数1 in イテラブル1 for 変数2 in イテラブル2]
リスト変数 = [式 for 変数1 in イテラブル1
for 変数2 in イテラブル2]
リスト変数 = []
for 変数1 in イテラブル1:
for 変数2 in イテラブル2:
リスト変数.append(式)
2つのシーケンスの掛け合わせ
ary = [(x, y) for x in range(1, 4) for y in range(1, 3)]
print(ary)
ary = []
for x in range(1, 4):
for y in range(1, 3):
ary.append((x, y))
print(ary)
(x, y)
これを
[x, y]
このようにすれば、リストの中にリストが入ります。
3重ループ
s = "VBA"
combi = [x+y+z for x in s for y in s for z in s if x != y != z != x]
print(combi)
文字組み合わせのうち同じ文字が使われていないもののみリスト生成しています。
以下と同じです。
s = "VBA"
combi = []
for x in s:
for y in s:
for z in s:
if x != y != z != x:
combi.append(x+y+z)
print(combi)
リスト内包表記のネスト
公式ドキュメントでは、長さ4のリスト3つからなる3x4のmatrixの行と列を入れ替えています。
5.1.4. ネストしたリストの内包表記
これについては、この下と例と併せて読んでもらえれば分かると思います。
ただし、最後のzip()関数と引数リストのアンパックの部分が分かりづらいので、
この下のzip()関数とリスト内包表記の中で解説しています。
ただし、最後のzip()関数と引数リストのアンパックの部分が分かりづらいので、
この下のzip()関数とリスト内包表記の中で解説しています。
2次元配列作成→1次元配列に変換→2次元配列に変換
row, col = 5, 4
#2次元配列作成
ary2 = [[(r - 1) * col + c for c in range(1, col + 1)] for r in range(1, row + 1)]
print(ary2)
#1次元配列に変換
ary1 = [c for r in ary2 for c in r]
print(ary1)
#2次元配列に変換
ary2 = [ary1[i:i + col] for i in range(0, len(ary1), col)]
print(ary2)
後ろに書いたループ1件ずつに対して、前半の内包表記が動きます。
左に書いたループ1件ずつに対して、後半の内包表記が動きます。
row, col = 5, 4
#2次元配列作成
ary2 = []
for r in range(1, row + 1):
ary2.append([])
for c in range(1, col + 1):
ary2[r-1].append((r - 1) * col + c)
print(ary2)
#1次元配列に変換
ary1 = []
for r in ary2:
for c in r:
ary1.append(c)
print(ary1)
#2次元配列に変換
ary2 = []
for i in ary1:
if i % col == 1:
ary2.append(ary1[i-1:i-1+col])
print(ary2)
zip()関数とリスト内包表記
zip()関数
それぞれのイテラブルから要素を集めたイテレータを作ります。
公式ドキュメント - zip(*iterables)
zip(*iterables)
タプルのイテレータを返し、そのi番目のタプルは引数シーケンスまたはイテラブルそれぞれのi番目の要素を含みます。
このイテレータは、入力イテラブルの中で最短のものが尽きたときに止まります。
単一のイテラブル引数が与えられたときは、1要素のタプルからなるイテレータを返します。
引数がなければ、空のイテレータを返します。
このイテレータは、入力イテラブルの中で最短のものが尽きたときに止まります。
単一のイテラブル引数が与えられたときは、1要素のタプルからなるイテレータを返します。
引数がなければ、空のイテレータを返します。
2つの文字列から順番に取り出した2つの文字でリストを作成
s = "Python"
combi = [(s1, s2) for s1, s2 in zip(s, s[::-1])]
print(combi)
以下と同じです。
combi = []
for s1, s2 in zip(s, s[::-1]):
combi.append((s1, s2))
print(combi)
公式ドキュメントのネストしたリストの内包表記の後半部分の解説
公式ドキュメントでは、長さ4のリスト3つからなる3x4のmatrixの行と列を入れ替えています。
5.1.4. ネストしたリストの内包表記
以下は抜粋です。
実際には複雑な流れの式よりも組み込み関数を使う方が良いです。この場合 zip() 関数が良い仕事をしてくれるでしょう。
この行にあるアスタリスクの詳細については 引数リストのアンパック を参照してください。
以下は抜粋です。
zip()関数と引数リストのアンパックについて補足説明
matrix = [[1, 2, 3, 4],[5, 6, 7, 8],[9, 10, 11, 12]]
list(zip(*matrix))
リストの要素1つずつが別々の引数(ここでは3つ)に展開されます。
そして、その3つの引数をzip()関数に渡しています。
つまり、
zip([1, 2, 3, 4], [5, 6, 7, 8], [9, 10, 11, 12])
このように指定したものと同じになります。
zip()関数は、3つのリストから要素をあつめます。
最初は、1,5,9、そして次は、2,6,10、・・・
enumerate()関数とリスト内包表記
enumerate()関数は以下で紹介しています。
第6回.for文とイテラブルオブジェクト - enumerate()関数
ここで紹介したスクリプトは、
これをリスト内包表記にします。
これは良い例ではありません。
printせずに単純にリスト生成だけなら、分かり易いと思います。
for count, char in enumerate("Python"):
print(str(count) + "番目の文字は"+char)
[print(str(count) + "番目の文字は"+char) for count, char in enumerate("Python")]
printせずに単純にリスト生成だけなら、分かり易いと思います。
[(count, char) for count, char in enumerate("Python")]
その他の内包表記
集合(set型)
リスト内包表記の[]を{}に変えると、集合(set型)の内包表記になります。
集合(set型)については、このPython入門ではデータ型の紹介では飛ばしています。
今後シリーズが進む過程の中で説明していく予定です。
公式ドキュメント - set(集合)型 --- set, frozenset
{i for i in range(1, 11)}
今後シリーズが進む過程の中で説明していく予定です。
set オブジェクトは、固有の hashable オブジェクトの順序なしコレクションです。
通常の用途には、帰属テスト、シーケンスからの重複除去、積集合、和集合、差集合、対称差 (排他的論理和) のような数学的演算の計算が含まれます。
通常の用途には、帰属テスト、シーケンスからの重複除去、積集合、和集合、差集合、対称差 (排他的論理和) のような数学的演算の計算が含まれます。
辞書(dict型)
リスト内包表記の[]を{}に変え、キートと値を指定すると辞書(dictt型)の内包表記になります。
{i: c for i, c in zip((1,2,3,4,5),"ABCDE")}
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