サブクエリのネストとSQLコメント&整形
エクセルVBAでデータベースを扱うためのSQL入門です。
前回は、サブクエリの基本的な使い方を説明しました。
FROM句で使って他のテーブルとJOINする書き方、WHERE句のINに指定する書き方等々。
さらに、複雑化したSQLへのコメントの書き方およびSQLの整形についても解説します。
サブクエリのネスト
サブクエリのネストです。
SELECT T.code,T.sales_date,T.item_count,TT.sum_count
FROM t_sales T
LEFT JOIN (SELECT code,SUM(item_count) AS sum_count
FROM t_sales
WHERE code IN (SELECT code
FROM m_customer
WHERE address LIKE '東京%'
GROUP BY code)
GROUP BY code) TT
ON T.code = TT.code
何をしているかというと、
・そのcodeのite_countの合計を取得 ・・・ JOIN句の中
・上記item_countの合計をカラム出力 ・・・ 全体
つまり、東京で始ま行にのみ合計数が出力されます。
このようなサブクエリの組み方や整形について以下で説明します。
サブクエリのネストの組み方
まずサブクエリを作成します。
-- サブクエリ1
SELECT code,SUM(item_count) AS sum_count
FROM t_sales
WHERE code IN ('001','002') --'001','002'は仮
GROUP BY code
-- サブクエリ2
SELECT code
FROM m_customer
WHERE address LIKE '東京%'
GROUP BY code
次にSQL全体を組みます。
SELECT T.code,T.sales_date,T.item_count,TT.sum_count
FROM t_sales T
LEFT JOIN (サブクエリ1) TT
ON T.code = TT.code
SELECT T.code,T.sales_date,T.item_count,TT.sum_count
FROM t_sales T
LEFT JOIN (SELECT code,SUM(item_count) AS sum_count
FROM t_sales
WHERE code IN ('001','002') --'001','002'は仮
GROUP BY code) TT
ON T.code = TT.code
'001','002'をサブクエリ2で置き換えて、
↓
SELECT T.code,T.sales_date,T.item_count,TT.sum_count
FROM t_sales T
LEFT JOIN (--↓サブクエリ1
SELECT code,SUM(item_count) AS sum_count
FROM t_sales
WHERE code IN (--↓サブクエリ2
SELECT code
FROM m_customer
WHERE address LIKE '東京%'
GROUP BY code
--↑サブクエリ2
)
GROUP BY code
--↑サブクエリ1
) TT
ON T.code = TT.code
出力結果を良く確認して完成されます。
エクセルのシートでの関数のネストと同じ要領です。
ただし、ネストしすぎたり多くのサブクエリを使用すると、
SQLが複雑となり、後々の修正が大変になってしまいます。
さらなる変更に対応するために、SQLをリファクタリングすることも必要になる場合もあります。
SQLのコメントについて
-- コメント
行の途中だけでもコメントアウトできますし、複数行をまとめてコメントアウトもできます。
SELECT カラム /* コメント */ FROM テーブル
WHERE /* コメント・・・
・・・コメント */
GROUP BY ・・・
SQLの整形
コメントを追加している点と、閉じ括弧の位置をずらしています。
特に閉じ括弧の位置は、
開き括弧の位置に合わせる方法と、一番後ろに入れる方法があります。
どちらが良いという事もなく、人によって好みが分かれるとところでしょう。
SELECT T.code,T.sales_date,T.item_count,TT.sum_count
FROM t_sales T
LEFT JOIN (
サブクエリ) TT
ON T.code = TT.code
SELECT T.code,T.sales_date,T.item_count,TT.sum_count
FROM t_sales T
LEFT JOIN (
サブクエリ
) TT
ON T.code = TT.code
GUIツールを使うと、
SQLが見やすく色分けされたり、サブクエリのネストが視覚化されたりするので、より作成しやすいはずです。
※DB Browser for SQLite
また、WEBや書籍で見た時に見やすいと思ったら、それを真似すると良いでしょう。
文字列をイミディエイトで取得して、DBのGUIツール等に貼り付けた時に見やすくなり、効率が良くなります。
sSql = sSql & "SELECT T.code,T.sales_date,T.item_count,TT.sum_count" & vbCrLf
sSql = sSql & " FROM t_sales T" & vbCrLf
sSql = sSql & " LEFT JOIN (--↓サブクエリ1" & vbCrLf
sSql = sSql & " SELECT code,SUM(item_count) AS sum_count" & vbCrLf
sSql = sSql & " FROM t_sales" & vbCrLf
sSql = sSql & " WHERE code IN (--↓サブクエリ2" & vbCrLf
sSql = sSql & " SELECT code" & vbCrLf
sSql = sSql & " FROM m_customer" & vbCrLf
sSql = sSql & " WHERE address LIKE '東京%'" & vbCrLf
sSql = sSql & " GROUP BY code" & vbCrLf
sSql = sSql & " --↑サブクエリ2" & vbCrLf
sSql = sSql & " )" & vbCrLf
sSql = sSql & " GROUP BY code" & vbCrLf
sSql = sSql & " --↑サブクエリ1" & vbCrLf
sSql = sSql & " ) TT" & vbCrLf
sSql = sSql & " ON T.code = TT.code" & vbCrLf
データの挿入:バルクインサート
サブクエリのネストとSQLコメント&整形の最後に
SQLのコメントの書き方や、SQLの整形について解説しました。
ただし、それとともにSQLはより複雑化していきます。
SQLを付けたし付けたしで拡張していった結果、SQLがサブクエリだらけになってしまうこともあります。
それがWITH句、共通テーブル式と呼ばれるもので、同じようなサブクエリはWITH句を使用して共通化することができます。
次回は、このWITH句について解説します。
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