第27回.インクリメンタルサーチの実装
VBAのユーザーフォームで大量のリストから選択する場合、
リストが大量にあると単なるコンボボックスやリストでは探すのが大変になってしまいます。
検索したい単語をすべて入力してから検索するのではなく、文字を入力するたびに即座に候補を表示させる機能です。
逐次検索と言われたりします。
テキストボックスに文字を入力すると、リストボックスが自動的に表れ、入力テキストと部分一致するリストだけを表示します。
↓キーでリストにフォーカスを移し、EnterまたはTabで選択が決定されます。
ユーザーフォームの作成
以下のVBAコードで使用しているコントロールになります。
TextBox1
TextBox2
ListBox1
いずれも特に設定が必要なプロパティはありません。
テキストボックスはフォント等を適当に設定してください。
リストボックスは何も設定する必要がありません。
ユーザーフォームのVBAコード
Option Explicit
'イベント停止
Private StopEvent As Boolean
'リスト対象のTextBox
Private ActiveTextBox As Control
'ListBoxの1行:フォントサイズに合わせて適当に
Private Const BaseHeight As Single = 12
'フォーム初期処理
Private Sub UserForm_Initialize()
'リストボックスのスタイル等の設定
With Me.ListBox1
.Visible = False
.ListStyle = fmListStylePlain
.BorderStyle = fmBorderStyleSingle
.Font.Size = 11
.TabStop = False
End With
StopEvent = False
End Sub
'TextBox1のイベント
Private Sub TextBox1_Change()
Call TextBoxChange(Me.TextBox1)
End Sub
Private Sub TextBox1_Enter()
Call TextBoxChange(Me.TextBox1)
End Sub
Private Sub TextBox1_KeyDown(ByVal KeyCode As MSForms.ReturnInteger, ByVal Shift As Integer)
Call TextBoxKeyDown(Me.TextBox1, KeyCode, Shift)
End Sub
'TextBox2のイベント
Private Sub TextBox2_Change()
Call TextBoxChange(Me.TextBox2)
End Sub
Private Sub TextBox2_Enter()
Call TextBoxChange(Me.TextBox2)
End Sub
Private Sub TextBox2_KeyDown(ByVal KeyCode As MSForms.ReturnInteger, ByVal Shift As Integer)
Call TextBoxKeyDown(Me.TextBox2, KeyCode, Shift)
End Sub
'リストボックスのEnterまたはTabでTextBoxにTextを入れる
Private Sub ListBox1_KeyDown(ByVal KeyCode As MSForms.ReturnInteger, ByVal Shift As Integer)
Select Case KeyCode
Case vbKeyReturn, vbKeyTab
'Enter,Tabでリスト選択を決定
StopEvent = True
ActiveTextBox.Text = Me.ListBox1.Text
Me.ListBox1.Visible = False
ActiveTextBox.SetFocus
KeyCode = 0
StopEvent = False
Case vbKeyEscape
'Escでリストを消す
StopEvent = True
Me.ListBox1.Visible = False
ActiveTextBox.SetFocus
StopEvent = False
End Select
End Sub
'TextBoxのChangeイベント共通処理
Private Sub TextBoxChange(ByVal ctl As Control)
Set ActiveTextBox = ctl
If StopEvent Then Exit Sub
'未入力時は無視
If ctl.Text = "" Then
Me.ListBox1.Visible = False
Exit Sub
End If
'リストに表示する配列を作成
Dim ary
ary = getListArray(ctl)
'候補がない場合はリストボックスは表示しない
If UBound(ary) - LBound(ary) < 0 Then
Me.ListBox1.Visible = False
Exit Sub
End If
'候補が1つで完全一致の場合はリストを表示しない
If UBound(ary) - LBound(ary) = 0 Then
If ctl.Text = ary(LBound(ary)) Then
Me.ListBox1.Visible = False
Exit Sub
End If
End If
With Me.ListBox1
.List = ary
'テキストボックスのすぐ下に同じ幅で表示
.Top = ctl.Top + ctl.Height
.Left = ctl.Left
.Width = ctl.Width
.Height = BaseHeight * .ListCount
'フォーム内に収める
If .Top + .Height > Me.InsideHeight Then
.Height = Me.InsideHeight - .Top
End If
.Visible = True
End With
End Sub
'TextBoxのKeyDownイベント共通処理
Private Sub TextBoxKeyDown(ByVal ctl As Control, _
ByVal KeyCode As MSForms.ReturnInteger, _
ByVal Shift As Integer)
Select Case KeyCode
Case vbKeyReturn, vbKeyTab
'リストを非表示に
Me.ListBox1.Visible = False
Case vbKeyDown
'↓キーの時にリストにフォーカスを移す
If Me.ListBox1.Visible = True Then
On Error Resume Next '想定外を考慮
Me.ListBox1.SetFocus
On Error GoTo 0
Me.ListBox1.ListIndex = 0
End If
End Select
End Sub
'インクリメンタルサーチ
Private Function getListArray(ByVal ctl As Control) As Variant
Dim ary As Variant
'テキストボックスによってリストを変更
ary = getListArrayByTextBox(ctl)
'スペース1文字の場合はスペースを消して全リストを表示
If ctl.Text = " " Or ctl.Text = " " Then
ctl.Text = ""
End If
'Filterで部分一致で絞り込み
ary = Filter(ary, ctl.Text, True, vbTextCompare)
getListArray = ary
End Function
'テキストボックスごとのリスト配列取得
Private Function getListArrayByTextBox(ByVal ctl As Control) As Variant
Dim ary
Select Case ctl.Name
Case "TextBox1"
ary = Worksheets("リスト").Range("A1:A30")
Case "TextBox2"
ary = Worksheets("リスト").Range("B1:B30")
Case Else
MsgBox "???"
End Select
'Transposeで1次元配列に
getListArrayByTextBox = WorksheetFunction.Transpose(ary)
End Function
ユーザーフォームのVBAコードの解説
インクリメンタルサーチを実装するテキストボックスが大量にあるという事は無いと思います。
イベントを共通化できなくもありませんが、さすがにこの場合は不要だと思います。
Filter関数ではなく配列をループで探すようにすれば、いろいろな検索方法にすることができますので、必要に応じて改変してみてください。
リストにない入力は認めない場合の実装は、今回のリストボックスの使い方ではかなり難しくなります。
単純に、Exitイベントで処理しようとするとなかなかうまく動作させることが出来ません。
Private Sub TextBox1_Exit(ByVal Cancel As MSForms.ReturnBoolean)
この中でCancel=Trueとした場合、フォーカスをリストボックスに移せなくなり、どうにも都合が悪いです。
今回の場合に限らず、ExitイベントでCancelすると、他のコントロールに移れなくなり実装がとても難しくなります。
インクリメンタルサーチの最後に
そもそも、リストが大量にある場合は、グループ分けして多段階の絞り込みの方が良い場合も多いと思います。
操作不慣れな人でも早く間違えずに入力できる仕組みはどのようなものか、これを良く検討して使ってみてください。
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