エクセル関数応用
Excel表とMarkdownテーブルを相互変換する数式

Excel関数の解説、関数サンプルと高等テクニック
公開日:2026-08-24 最終更新日:2026-08-24

Excel表とMarkdownテーブルを相互変換する数式


技術ブログの執筆やGitHubのドキュメント作成など、Markdownを利用する機会は増えています。
しかし、表をMarkdown形式で手作業入力するのは意外に手間がかかります。
そこで今回は、Excelの動的配列関数を使い、

  • Excelの表 → Markdownテーブル
  • Markdownテーブル → Excelの表

これらを数式だけで変換する方法を紹介します。
VBAやPower Queryを使わず、1つのセルに数式を入力するだけで処理できます。


注意

本記事では、GitHub Flavored Markdownなどで利用される、パイプ(|)を使った定型的なMarkdownテーブルを対象とします。

※本記事の数式および解説文章の多くは、生成AI(ChatGPT、Gemini、Claude)を活用して作成しました。数式動作や解説文の最終的な内容は人間による確認・編集を経て掲載しています。



ページ内目次

動作環境と仕様

今回の数式では、TEXTSPLIT、BYROW、VSTACK、TAKE、DROP などの動的配列関数を使用します。
  • 必須環境: Microsoft 365 または Excel 2024
  • 行頭・行末にパイプ(|)を置く形式を対象とする
  • 2行目をMarkdownテーブルの区切り行とする
  • Excelのセル内改行(Alt + Enter)は <br> に変換する
  • セル内に含まれるパイプ(|)は \| にエスケープする

なお、Markdownには複数の方言や実装があります。
本記事で扱うパイプ形式のテーブルは、すべてのMarkdown処理系で共通する仕様ではありません。

また、<br> はMarkdown記法そのものではなくHTMLタグです。
本記事では、HTMLを利用できるMarkdown処理系を想定しています。


Excel表 → Markdownテーブル

Excel上の指定範囲(例:A1:C6)を読み込み、Markdownテーブル形式のテキストに変換します。


Excel表とMarkdownテーブルを相互変換する数式

=LET(
    d, SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(A1:C6, "|", "\|"), CHAR(10), "<br>"),
    r, BYROW(d, LAMBDA(x, "| " & TEXTJOIN(" | ", 0, x) & " |")),
    TEXTJOIN(CHAR(10), 0, INDEX(r, 1), REPT("| --- ", COLUMNS(d)) & "|", DROP(r, 1))
)

数式の解説
  1. SUBSTITUTEによる特殊文字の処理
    SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(A1:C6, "|", "\|"), CHAR(10), "<br>")
    まず、セル内に含まれるパイプ(|)を \| に変換します。Markdownテーブルではパイプが列の区切りとして使われるため、そのまま出力すると、セル内の文字列まで列の区切りとして解釈されてしまいます。
    続いて、Excelのセル内改行である CHAR(10) を <br> に変換します。
    これにより、セル内の改行によってMarkdownテーブルの行構造が崩れることを防ぎます。

  2. BYROWによる行単位の文字列化
    BYROW(d, LAMBDA(x, "| " & TEXTJOIN(" | ", 0, x) & " |"))
    表の各行に対して TEXTJOIN を適用し、| A | B | C | のようなMarkdownテーブルの1行に変換します。
    処理結果は、各行が文字列になった動的配列として r に格納されます。

  3. REPTによる区切り行の生成
    REPT("| --- ", COLUMNS(d)) & "|"
    Markdownテーブルでは、ヘッダー行の次に区切り行を置きます。
    例えば3列の表であれば、| --- | --- | --- | が生成されます。
    COLUMNS(d) を使っているため、元の表の列数に応じて区切り行も自動的に変化します。

  4. TEXTJOINによる最終結合
    TEXTJOIN(CHAR(10), 0, INDEX(r, 1), REPT("| --- ", COLUMNS(d)) & "|", DROP(r, 1))
    以下の3つを改行で結合します。
    • 1行目のヘッダー
    • 自動生成した区切り行
    • 2行目以降のデータ行
    これにより、Excelの表全体をMarkdownテーブル形式の1つのテキストとして出力できます。


Markdownテーブル → Excel表

MarkdownテーブルをExcelのセルに貼り付け、表として展開します。
例えば、次のMarkdownテーブルがセル E1 に入力されているとします。

Excel表とMarkdownテーブルを相互変換する数式

=LET(
    p, "【PIPE】",
    t, SUBSTITUTE(E1, "\|", p),
    s, TEXTSPLIT(t, "|", CHAR(10)),
    d, VSTACK(TAKE(s, 1), DROP(s, 2)),
    x, DROP(DROP(d, , 1), , -1),
    TRIM(SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(x, p, "|"),"<br>",CHAR(10)))
)

数式の解説
  1. エスケープされたパイプを一時退避
    p, "【PIPE】",
    t, SUBSTITUTE(E1, "\|", p)
    ここが重要です。
    Markdownテーブル内のセルに A\|B のようなエスケープされたパイプが含まれている場合、そのまま TEXTSPLIT(E1, "|", CHAR(10)) を実行すると、\| に含まれる | まで列の区切りとして分割されてしまいます。
    そのため、分割する前に \| を一時的な文字列である 【PIPE】 へ置き換えます。
    これにより、エスケープされたパイプを通常の列区切りと区別できます。

  2. TEXTSPLITによる2次元配列への分割
    TEXTSPLIT(t, "|", CHAR(10))
    一時退避した文字列を使って、列区切り:|、行区切り:CHAR(10) としてMarkdownテーブルを2次元配列に分割します。
    この時点では、セル内の \| はすでに 【PIPE】 へ退避されているため、誤って列区切りとして分割されません。

  3. TAKEとDROPによる区切り行の除外
    VSTACK(TAKE(s, 1), DROP(s, 2))
    今回対象とする定型的なMarkdownテーブルでは、1行目:ヘッダー、2行目:区切り行、3行目以降:データという構造になっています。
    そこで、TAKE(s, 1) で1行目のヘッダーを取得し、DROP(s, 2) で先頭2行を削除して3行目以降のデータを取得します。
    最後に VSTACK で両者を縦方向に結合します。
    区切り行の内容を検索する必要がなく、対象とするテーブルの構造を利用したシンプルな処理です。

  4. 先頭・末尾の空列を削除
    x, DROP(DROP(d, , 1), , -1),
    今回対象とするMarkdownテーブルは、| A | B | C | のように、行頭と行末にパイプを置く形式です。
    そのため、TEXTSPLIT で分割すると、先頭と末尾に空の列が生じます。
    そこで、DROP感は数で先頭の空列と末尾の空列を削除します。

  5. 一時退避したパイプとセル内改行を復元
    SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(x, p, "|"),"<br>",CHAR(10))
    まず、一時退避していた 【PIPE】 を本来のパイプ(|)へ戻します。
    続いて、<br> をExcelのセル内改行である CHAR(10) へ戻します。
    最後に TRIM で各セルの前後の余分な半角スペースを削除して完成です。


本数式の対象範囲と留意点

今回の数式は、任意のMarkdownテーブルを完全に解析する汎用パーサーではありません。対象としているのは、次のような定型的な形式です。
| 列1 | 列2 | 列3 |
| --- | --- | --- |
| A | B | C |
| D | E | F |

また、Excel → Markdown → Excelの往復変換では、基本的な文字列を保持することを目的としています。
そのため、次のようなケースについては対象外(または追加の処理が必要)となります。
  • 行頭・行末にパイプがない形式
  • 2行目以外に区切り行がある形式
  • :--- や :---: などによる列の配置指定
  • <br> 以外のHTML改行表記
  • 一時退避文字列そのものがデータに含まれる場合
    今回の数式では 【PIPE】 を一時退避用の文字列として使用しています。
    元データにこの文字列が含まれると \| と区別できなくなるため、実際に運用する際はデータ内に存在しない文字列を選択してください。
  • Markdown処理系独自のテーブル仕様
したがって、あらゆるMarkdownテーブルを完全に相互変換する数式ではなく、形式を限定した定型的なMarkdownテーブルをExcelと相互変換する数式として利用するのが適切です。


まとめ

動的配列関数の登場により、以前はVBAやPower Queryを利用することの多かった配列操作やテキスト処理の一部を、ワークシート関数だけで簡潔に記述できるようになりました。
今回の数式では、
  • BYROW による行単位の処理
  • TEXTJOIN による文字列の構築
  • TEXTSPLIT による2次元配列への分割
  • TAKE と DROP による配列の切り出し
  • VSTACK による配列の再結合
という、動的配列関数の基本的な操作を組み合わせています。

特にMarkdown → Excelの変換では、\| を分割前に一時退避することが重要です。
これにより、セル内のパイプとMarkdownテーブルの列区切りを区別できます。

「すべての形式に対応する」ことを目指して数式を複雑化するよりも、対象となるデータ構造を明確に定義し、その構造に対して必要十分な処理を行う。
今回の数式は、動的配列関数を使った実用的なテキスト処理の例としてだけでなく、そのような設計の考え方を示す例としても活用できるでしょう。




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